体外受精、顕微授精を行うためには、まず卵胞をつくることから始まり、そして採卵となります。卵子の育て方には、大きく分けて自然周期を用いて育った一個の卵子を採取する方法と、薬を使って複数の卵胞を育て、複数の卵子を採取する方法(卵巣刺激法)の二種類があります。

薬を使って行う卵巣刺激法には、ロングプロトコール法、ショートプロトコール法、アンタゴニスト法、また内服薬と注射を加えた低刺激法があります。医療機関によっては、これらをアレンジして行っているところもあります。

まず、卵子をつくるために月経三日めに血液検査を行い、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)、卵胞ホルモン=エストラジオール(E2)の数値を調ぺます。体外受精と顕微授精を行う場合、正確な採卵日が決まるまで、ホルモン値の検査を何度か行います。医療機関では、ホルモンの名称は日本語名ではなく、英訳された頭文字を使った呼び方をします。そのため、ここでは初出のときに英語の頭文字を使った呼び方も併記しておくので、覚えておくとよいでしょう。

ホルモンの基準値は、あくまでも目安ですが、月経二~5日めで卵胞刺激ホルモンと黄体化ホルモンが10mIU/ml以下、エストラジオールは50pg/ml1です。

卵巣内に前週期の卵胞である黄体化未破裂卵胞(残留卵胞)が残っていると、新しい卵胞が育ちにくくなるため、超音波で卵巣を調ぺます。黄体化未破裂卵胞がなくホルモン値に間題がない場合、もしくは基準値外でも卵巣や内膜の状態がよい場合は、最初に組んだスケジュールで体外受精/顕微授精は行われます。ホルモン値に問題がある場合は、カウフマン療法などで卵巣を休ませ、回復させてから新たにスケジュールを組み直します。

顕微授精とは、顕微鏡下で一個の精子を卵子の中に送り込み受精させる方法で、採卵までの過程と移植の過程は体外受精と同様です。重度の受精障害で、これ以外の治療によっては妊娠の見込みがないか、きわめて可能性が低いと判断される場合、顕微授精が適応されます。

現在、顕微授精の主流となっているのは、マイクロピペットというガラス管に精子を一個だけ吸引し、卵子の細胞質に直接注入する卵細胞質内精子注入法です。英語名であるIntracytoplasmic sperm injectionを略し、ICSI=イクシーと呼んでいます。

一個でも精子が存在すればイクシーは行えます。したがって、精子の運動率が極端に悪い場合や数が少ない場合、奇形率が高い場合、卵子の外側の殻である透明帯が硬くて精子の侵入が不可能な場合や、抗精子抗体が陽性の場合、そして精巣上体精子もしくは精巣精子を用いる場合など、これまで体外受精でなかなか結果を出せなかったケースでも、イクシーを行うことで妊娠に至る確率が高くなるのです。

採卵(卵子を採取すること)後、イクシーをする場合は、前培養といって3~6時間培養をします。その後、卵子のまわりを包んでいる卵丘細胞を除去し、成熟卵かどうかを確認します。卵子の中に第一極体と呼ばれる小さな粒か認められると成熟卵ということになります。成熟卵であることが確認できたら培養を続け、そして顕微授精を行います。顕微授精の方法は、まず精子の尻尾をマイクロピペットの先端でこすり、精子を不動化させます。そして、精子を卵細胞質内に注入します。

体外受精とは、体内で行われる受精を体外、つまりシャーレの上で行い、受精卵を子宮内に戻すことをいいます。体外受精・胚移植法のことを一般的に「体外受精」と衣現しますが、卵子を採り出したのち、受精操作を行い、受精した卵子(胚)を子宮に戻すことから、正式には「体外受精・胚移植法」と呼ばれています。

人工授精はあくまで精子を注入するだけで、受精は自力で行いますが、体外受精は受精させた受精卵を体内に戻すのです。

自然妊娠とは違い、人の手によって高度技術を施す治療ではありますが、自然妊娠がむずかしい人に対し、体外受精は妊娠ま
での道のりを近づける大きな役割を果たしている治療法だといえます。

体外受精の対象になるのは、「これ以外の治療によっては妊娠の可能性がないか、きわめて低いと判断されるもの、および本法を施行することが、被実施者またはその出生児に有益であると判断されるもの」となっています(日本生殖医学会より)。具体的には卵管性不妊、乏精子症、免疫性不妊症、原因不明不妊症(タイミング指導や人工授精を何回も行ったが妊娠に至らないなどの人が適応となります。

卵胞(卵子が入った袋状のもの)の育て方は、年齢や卵巣の状態、ホルモン値などをトータルで見て決定します。事前にくわしく説明を受け、本当に体外受精が必要なのか、その方法が自分たちにとってベストなのかをカップルで考え、納得したうえで受けるべき治療法だといえるでしょう。