人工授精について

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不妊症の治療法で効果が得られない場合は、高度不妊治療(ART=アート)に移行します。本章では、高度不妊治療の具体的な内容について解説しましょう。

まずは人工授精からです。厳密にいうと、人工授精は高度不妊治療には分類されません。しかし、タイミング指導の次のステップに行われる治療法として、ここで紹介しておきたいと思います。

人工授精とは、採取した男性の精液を人工的に女性の子宮に注入することをいいます。少しでも多くの精子を受精の場所である卵管膨大部(卵管の入り口付近)に近づけることが目的です。

人工授精には、夫婦間で行う配偶者間人工授精と、夫以外の精子を用いる非配偶者間人工授精があります。

配偶者間人工授精での適応は、精子の異常(精子濃度2000万/ml未満の乏精子症、運動精子50%未満の精子無力症、精
液量1.0ml以下の乏精液症)、射精障害性交障害、抗精子抗体(女性の体内に人った精子を免疫反応により攻撃する物質)陽性、ワーナーテスト陰性、機能性不妊(タイミング指導で妊娠しなかった症例で、不妊の原因が不明の場合)などがあげられます。

一方、非配偶者問人工授柄に関しては、夫が無精子症など、精子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って適応されます。

男性不妊の場合に行う人工授精での精液所見は、WHO(世界保健機関)の基準に基づき、精液の量が1.0ml以下、精子濃度が2000万/ml未満、運動精子率が50%未満、高速前進運動精子が二五%未満が適当、とされています。

人工授精では、まず採取した精液(医療機関によっては、当日院内で採精するか、四時間以内に自宅から持ち込むかが選べる)をスイムアップ法やパーコール密度勾配法などで洗浄・濃縮します。

スイムアップ法では、精液を遠心分離し、含まれている細菌やゴミなどの不純物を培養液で洗浄します。その後、沈殿した精子に培養液を加え、一時間ほど置くと元気な精子が上のほうに泳いできます。そして、上澄みに集まってきた元気な精子を抽出し、人工授精を行います。

パーコール密度勾配法では、パーコールという液を精液にまぜ、遠心分離します。すると、異物や死んだ精子などがパーコールの屑で除去され、元気な精子だけが管の底に沈殿します。その精子を抽出して人工授精を行います。

精子の洗浄・濃縮が終わったら、注射器で子宮顕管もしくは子宮腔に精液を注入します。痛みはほとんどなく、数秒で終了します。人工という名前がつくため、抵抗感を覚える人もいるかもしれませんが、人工授精はタイミング指導の次に自然に近い治
療法といえます。

人工授精での妊娠率は7.5~28.5%(平均23.8%)です。妊娠に至らなかった場合は間を置かず、また次の月経周期でも人工授精が可能です。五~七回をめどとして挑戦し、それでも妊娠しないようであれば、それぞれの状態に合わせ、さらなるステップアップ(体外受精・顕微授精)を進めていきます。

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  11. 人工授精について
    人工授精とは、採取した男性の精液を人工的に女性の子宮に注入することをいいます。少しでも多くの精子を受精の場所である卵管膨大部(卵管の入り口付近)に近づけることが目的です。

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