不妊症とは

自分の排卵日を知る

排卵日は先に述べた基礎体温で大まかな予測がっきますが、そのほかの方法として子宮頸管粘液で予測することも可能です。

卵胞が発育すると卵胞ホルモン(E2)が分泌され、それにより子宮鎖管粘液もふえてきます。腔内は細菌の侵入を防ぐため
に酸性に保たれていますが、排卵日が近づくにつれ、精子の通り道となる子宮鎖管は卵胞ホルモンによりアルカリ性の粘液を多く分泌させます。そして、酸性をきらう精子の運動を促してくれるのです。子宮頬管粘液は卵白のようなプルンとした状態で、糸を引くようによく伸びるのが特徴です。

基礎体温に変化が現れ、おりものの状態が変わってきたら、綿棒や指を腔内に挿入して、粘液を親指と人さし指に採り、指で
伸ばしてみましょう。サラサラで伸びないようであればまだ排卵の時期ではなく、糸を引くように伸びるようであれば排卵日が近いか、もしくは排卵したということになります。このときの粘液を乾燥させて顕微鏡で観察すると、シダ状の結晶になっています。

また、排卵日を知る方法として、尿の黄体化ホルモンの濃度を測り、排卵日を特定する検査薬や、唾液をガラス板にとり、付属の顕微鏡でシダ状結晶を観察するキットも市販されています。より正確な排卵日を特定するタイミング指導は医療機関でも行っていますが、基礎体温表と併せ、個人でできる排卵日のおおまかな目安として使うとよいでしょう。


基礎体温と排卵日の予測

基礎体温を測つてみよう

妊娠を希望している女性に、まず実行してほしいのが、毎朝の基礎体温を記録することです。基礎体温とは、前述したように、眠っている間など体が最も安静な状態にあるときの体温のことです。朝目覚めたら、動かずに寝床の中で、市販の基礎体温計ですぐに測りましょう。

基礎体温を記録すると、大まかな排卵日や月経の予測も立てられます。また、基礎体温表を見ることで、その人が持つ疾患を特定できる場合もあります。

基礎体温は通常、低温期と高温期の二相に分かれます。

低温期とは、月経が始まってから排卵が起こるまでの時期のことで、月経期と卵胞期に分けられます。卵胞刺激ホルモンが分泌されるため、体温が低く保たれ、同時に卵胞ホルモンが分泌されるので、卵胞がじゅうぶんな大きさまで育ちます。

一方、高温期は黄体期とも呼ばれており、排卵後、黄体ホルモンが分泌されることから、体温が上昇している時期のことをいいます。妊娠している場合は高温期が続き、卵子が受精・着床しなかった場合は、排卵から一四日前後で月経が始まります。
 基礎体温が正常な場合、高温期が短かったり長かったりする場合、低温期と高温期の二相に分かれない場合、月経不順を含め、体にどこか異常がないかを探る目安ともなります。

 

【高温期が短い場合】

高温期は排卵後から起こりますが、正常の場合はだいたい10日以上続きます。それ以下の場合に考えられる疾患は、卵子が未熟、もしくは黄体機能不全(黄体ホルモンの分泌により着床障害を起こすこと)があげられます。

【高温期が長い場合】

高温期が二一日以上続く場合は、妊娠の可能性、また、同じく二一日以上続いたあとに月経が始まった場合は流産の可能性が出てきます。そのほか、子宮外妊娠や別の原囚を抱えている場合もあるので、早めに受診をしましょう。

【グラフが二相に分かれていない場合】

無排卵月経を疑う必要があります。月経はきちんときていると思っていても、排卵が起こらずに、月経のように出血をすることがあります。これを破綻出血といいます。微量のホルモンで子宮内膜が少し厚くなり、それが古くなって出てくるのです。グラフに1ヵ月以上変化がない場合、一度受診されることをおすすめします。

【グラフの線がバラバラの場合】

睡眠不足や起きる時間帯が同じではないなど不規則な生活が続いた場合と、二相に分かれていない人同様、無排卵月経の疑いがあります。単にうまく体温が測れていない場合もあるので、測ったときの状況を再度確認してみましょう。


受精卵の着床と妊娠の成立

受精した卵子のことを胚といいます。胚は細胞分裂をくり返しながら卵管内をコロコロところがり、子宮にたどり着いて、フカフカに準備された子宮内膜へと着床します。

胚の細胞分裂は、平均して受精から二日目に四分割、三日めに八分割となり、四日目には分割がさらに進み、細胞同上が融合して分割した状態がわかりにくくなります。この四日目の胚は一見、クワの実のように見えることから、桑実胚と呼ばれています。
桑実胚の表面に穴があき、その穴が完全に広がった状態が胚盤胞です。順調に分割が進むと、これが五日目に起こります。その後、胚盤胞は透明帯という膜を抜け出て(=ハッチング)、子宮内膜へと着床します。

胚が着床するのは、受精から5~7日め。着床した胚は絨毛と呼ばれる根のようなものを出し、子宮内膜に結びつきます。

こうした受精から着床までのステップの間に、どこかで止まってしまう胚も存在します。その場合は着床に至らなかったということであり、ハッチングし、内膜にしっかりと着床した場合、妊娠が成立します。


精子と卵子の出合い

卵巣の外へ排卵された卵子は、卵子や精子の通り道である卵管の末端にある卵管米というイソギンチャクのような形をした部分にキャッチされます。キャッチされた卵子は、卵管の入り口である卵管膨入部で待機します。

一方、射精された何億個もの精子は腔から千宮に入り、卵管を通って卵子の下へとたどり着きます。射精とともに卵子へと目がけた競争がスタートし、卵子が待つ卵管膨大部まで最初にたどり着いた何億個のなかのたった一個の精子だけが、卵子と受精することができるのです。

精子は卵子の殻を溶かすアクロシンやヒアルロニダーゼという酵素を出し、卵子の内側に侵入します。精子が侵入した瞬間、卵子のまわりには受精膜というパリアが張られ、ほかの精子の侵入を防ぎます。これで受精が完了します。なお、ごくごくまれに多精子受精といって、二個の精子が卵子の中に入ることがありますが、この場合は着床・妊娠に至ることはありません。


女性の体と妊娠のメカニズム~月経と排卵の仕組みを知ろう

女性の体の働きとして、だいたい25~38日のサイクルで月経があり、月経と月経の間に排卵があります。

それでは、排卵とは具体的にどのように行われるのでしょうか。

生まれたての女の赤ちゃんの卵巣の中には、原子卵胞という卵胞(卵子が入った袋状のもの)の元が200万個ほどあり、成長とともにその数はしだいに減少していきます。ちなみに、思春期には20万~30万個となり、その後、一ヵ月に1000個はどが減少し、原子卵胞がなくなった時点で閉経ということになります。

さて、月経が始まると、脳の下垂体という部分から卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されて、20個はどの原子卵胞が目覚め、成長を開始します。ただし、この20個のうち、大きくなるのは主席卵胞と呼ばれる一個のみです。ほかの原子卵胞は主席
卵胞の栄養となり吸収されます。

卵胞刺激ホルモンの刺激で主席卵胞が成熟しだすと、卵胞を成長させる卵胞ホルモン=エストロゲン(E2)が穎粒膜細胞から分泌され、脳の視床下部へと屈けられます。

卵胞ホルモンがじゅうぶんに出て主席卵胞が育ったら、そこで下車体は卵胞刺激ホルモンの分泌を抑え、黄体化ホルモン(LH)を分泌します。この刺激により、成熟した主席卵胞の中の卵子が膜を破って卵巣の外に飛び出します。これが排卵です。

約三~九日間生き延びる精子に対し、排卵された卵子は約二四時間しか生命力を待ちません。そのために、妊娠を希望される人は、排卵日をきちんと特定し、性交渉を持つ必要があるのです。

排卵したあとの卵胞は黄体という器官に変化します。黄体は黄体ホルモン=プロゲステロン(P4)を分泌し、それによって基礎体温が~昇して、高温期が続きます。

排卵後に受精・着床(受精卵が子宮内膜に定着すること)が行われなかった場合、黄体は小さくなり、黄体ホルモンによって厚くなった子宮内膜がはがれ落ちて、排卵から約二週間はどで月経が始まります。


昨今の不妊症の現状~約56万組のカップルが挑む不妊治療

まず不妊症とはどのような病気であるのか、そして、不妊治療の現状とはどのようなものなのかを説明しましょう。

一般的には、妊娠を希望し、通常の性生活を送りながら、一~二年以上経過しても妊娠に至らない場合、不妊症と診断されます。これは「子供を持つ90%の夫婦が二年以内に妊娠している」という日本産科婦人科学会の定義に基づいた考えです。

不妊症の原因は、女性に間題がある場合、男性に間題がある場合、もしくは双方に間題がある場合と、さまざまです。ハッキリと不妊の原因がわかる場介もありますが、いくつかの原因を同時に抱える場合もあれば、検査をしても原因を特定できず、不明のままに治療を始める場合もあります。現状を見ると、原因不明の割合のほうが多いかもしれません。

厚生労働省が2007年度に実施した「生殖補助医療技術に関する意識調査」によれば、既婚者のうち「不妊に悩んでいる」または「過去に悩んだことがある」と答えた人の割合は、結婚期間二~三年で二八%、四~五年で22.3%、6~9年で29.1
%となっています。平均すると、結婚期間が10年未満の夫婦では、三・七人に一人が不妊に悩んだ経験を持つということになるのです。

現在、国内で不妊治療を受けているカップルは約五6万組といわれています。そのうち、体外受精、顕微授精などの高度不妊治療(ART=アート)を受けているカップルは二四%であり、年間で治療を受けているカップルは約22万5000組という数字になっています(2003年度厚生労働省調べ)。しかし、子供を望んでいても「治療をしてまでは......」と思っている人も多く、実際に不妊で悩んでいる人は、この数字よりさらに多い状況だと考えられます。

そのような背景から、体外受精および顕微授精を対象とし、厚生労働省が少子化対策の一環として、不妊治療費の一部を助成するという事業がスタートしました。一回の助成額の上限が10万円で年二回まで、通算五年間支給されるというものです。高度不妊治療には健康保険が適用されないため、こういった国からの支援は、現在不妊治療を受けている人、そして、これから挑戦しようと考える人に大きなサポートとなることでしょう。

なお、助成金対象者は、特定不妊治療以外の治療法では妊娠の見込みがない、または可能性がきわめて低いと医師に診断された戸籍上の夫婦です。所得制限額は夫婦合算の所得ペースで730万円です。

不妊治療を受けているカップルが二年以内に妊娠する確宰は35歳未満で75%に対し、35歳以上では50%に低下するといわれています。治療を開始し、次の段階へと進むタイミングは、体の状態や年齢によっても違ってきます。

治療の内容は、基礎体温(最も安静にした状態での体温)から排卵日(卵子を排出する日)を予測して、そのタイミングで性交渉をする「タイミング法」から高度不妊治療までさまざまです。高度不妊治療に挑戦しているカップルのうち、一年間に妊娠に至るケースは約20%ほどしかありません。数字の低さに驚く人もいるかもしれませんが、これが現実にある数字なのです。


1
TOPPAGE  TOP